撮像素子は光子のカウンターであることから、本来の感度はだいたいISO125程度しかありません。なのでカメラファンの話題になる 「高感度特性」 と言うのは本当はあり得なくて、Bの画像エンジンでごまかして高感度に見せた結果です。しかし、その画像処理性能たるや 「まるで魔術師!」 「ペテン師!」 です。
あたかも本当に感度が高くなったような画像が保存されます。撮像素子のノイズは原理的に簡単には消せないはずなのに見事に消します(ノイズと一緒に星も消しちゃうカメラもありますが)。画素が詳細になれば1画素の光子カウンターの容量が少なくなってノイズが増えるはずなのに、人間の細胞よりも小さい詳細画素のカメラでも気になるほどのノイズはありません。Bのペテン師のワザは@やAの要素の特質など全部蹴散らしてしまうほどスゴイのでしょうね。
撮像素子が生産メーカーから他メーカーにOEMされると、「供給されたメーカーのカメラも同じ性能になる 」と思う人が多いようですが、三要素で肝心なのはBですから、Bも撮像素子と一緒に供給されるのでなければ、やはり性能差や個性の違いは、かなり大きくなると思われます。
●常に進化を続け、突然化けて高性能になることもある!
星爺はペンタックスのデジイチを使って、あまりの星野写真性能の悪さに本気でドブに捨てようと思ったことがあります。オリンパスのカメラはフォーサーズ( 約23×15mmと小さいAPS-Cより小さな17.3×13mm )で撮像素子が小さい分だけ詳細画素のため、ノイズがひどくて星野写真には適さないと信じられていた時代もあります。
しかし、Bの画像エンジンが高性能化されると、オリンパスは突然化けたように星野写真に適したカメラになりました。ペンタックスは3年ほど前からイイ味で星野写真を撮れます。両者ともそこそこHαの赤色星雲が写るのは、感度を上げるために赤の透過域をやや長波長側に広げたからかもしれませんよ。 こういうことが年中あるので新製品からは眼が離せません。
P.S.
こいつはいくらなんでも長波長側に広げ過ぎかな?
星野写真の高性能ぶりで天文ファンに人気のあるカメラはキヤノンですが、この1〜2年でどのメーカーの画像エンジンも進化して、決定的な差はなくなってきました。富士フイルム、オリンパス、ペンタックスの健闘が光ります。詳細画素のうえHα光が写る天文用のニコンの810Aも素晴らしいカメラです。
これらの高性能の要因はほとんど画像エンジンなのですが、ソニーからもうすぐ裏面照射型の撮像素子を採用した
α7RUが登場します。三要素の@が根本的に進化するので絶対注目ですね!(P.S.ペテン師さんは期待したほど変わらなかったみたいですね)。
こんなめまぐるしいほどの状況なので、目上の人を尊敬することは大切ですが、古い情報はアテにせず必ず自分で、メーカーの宣伝文句にも疑問を持ちつつデジカメを購入してください。
●撮影法や赤道儀の仕様も変わる!
ISO感度の設定を高くし過ぎると、見かけの感度が高く見えるだけで、ノイズばかりの汚い画像になったり画像エンジンが暗い星を消したりしてしまいます。が、最新型の各社のデジカメはISO1000〜1600でもノイズの少ない星野写真を撮影できるようになりました。こうなると、光害の少ないかなり暗い空でもJPG保存では適正露出時間はISO1600ならF2.8で1分、F4で2分ほどですから、追尾性精度の良くない赤道儀でも使うことができるし、当然オートガイダーも無用になります。
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